第1節 法の分類・効力
第1章 法学
法には様々な種類があり、それぞれ異なる役割を持っています。また、法が実際に効力を持つためには一定のルールがあり、複数の法が衝突する場合の優先順位も定められています。この節では、法の基本的な分類と効力に関するルールを学び、法がどのように適用されるのかを理解します。
法の分類(公法と私法)
公法とは、国家と私人の関係、または国家相互間の関係を規律する法です(憲法、刑法、行政法など)。私法とは、私人相互間の関係を規律する法です(民法、商法など)。この分類は法の適用場面や法律関係の性質を理解する上で重要です。
具体例
Aさんが税金を滞納して税務署から督促を受けるのは公法関係。一方、Aさんが隣人Bさんと土地の境界線で争うのは私法関係。前者は国家権力との関係、後者は私人同士の関係という違いがある。
要件
- ・公法:国家と私人、または国家相互間の関係
- ・私法:私人相互間の対等な関係
効果・結論
- ・公法関係では国家の優越的地位が認められる
- ・私法関係では私的自治の原則が適用される
試験のポイント
- ・社会法(労働法など)は公法・私法の中間領域として出題される
- ・行政手続法は公法に分類される点に注意
実体法と手続法
実体法とは、権利義務の内容を定める法です(民法、刑法など)。手続法とは、権利義務を実現するための手続を定める法です(民事訴訟法、刑事訴訟法など)。実体的な権利があっても、それを実現する手続がなければ意味がありません。
具体例
Aさんが貸した100万円をBさんが返さない場合、返還請求権という実体的権利は民法に定められている。しかし実際に返してもらうには、民事訴訟法に従って裁判所に訴えを提起する必要がある。
要件
- ・実体法:権利義務の発生・変更・消滅を規定
- ・手続法:権利の実現方法を規定
効果・結論
- ・実体法により権利義務の内容が確定する
- ・手続法により権利の実現が可能となる
試験のポイント
- ・民法は実体法、民事訴訟法は手続法という基本的な分類を押さえる
- ・行政手続法は手続法だが、行政法の一般法として実体的規定も含む点に注意
強行法規と任意法規
強行法規とは、当事者の意思にかかわらず必ず適用される法規です。任意法規とは、当事者が別段の合意をすれば排除できる法規です。公の秩序に関わる規定は強行法規、私的自治を補充する規定は任意法規とされます。
具体例
AさんがBさんに土地を売る契約で、民法の規定と異なる支払時期を合意すれば任意法規は排除できる。しかし未成年者の保護規定は強行法規なので、未成年のCさんとの契約では当事者合意でも排除できない。
要件
- ・強行法規:公序良俗、弱者保護などに関する規定
- ・任意法規:当事者の合意がない場合の補充規定
効果・結論
- ・強行法規違反の合意は無効
- ・任意法規は当事者の合意で排除可能
試験のポイント
- ・民法の多くは任意法規だが、未成年者保護規定などは強行法規
- ・刑法はすべて強行法規という点を押さえる
法の適用と解釈
法の適用とは、具体的事案に法規範を当てはめることです。その際、拡張解釈(文言を広く解釈)、縮小解釈(文言を狭く解釈)、類推解釈(類似の事案に適用)、反対解釈(反対の結論を導く)などの解釈技法が用いられます。
具体例
民法の【配偶者】という文言を、事実婚も含むと広く解釈するのが拡張解釈。逆に法律婚のみと狭く解釈するのが縮小解釈。また、ペットについて物の規定を類推適用するのが類推解釈である。
要件
- ・拡張解釈:文言の可能な範囲内で広く解釈
- ・類推解釈:法の欠缺を補うため類似規定を適用
効果・結論
- ・適切な解釈により事案の妥当な解決が可能
- ・刑法では類推解釈は罪刑法定主義により禁止
試験のポイント
- ・類推解釈は刑法では禁止、民法では許容という違いを押さえる
- ・反対解釈は【のみ】【に限り】などの限定文言がある場合に使う
まとめ
📱 アプリのご紹介
スマホアプリで、いつでもどこでも。行政書士合格を、スキマ時間で。
行政書士試験学習には必須の判例のわかりやすい解説から科目別テキスト、過去問演習、択一演習をスマホでまとめて持ち歩ける学習アプリです。通勤・休憩中に1問だけでも。独学でも仕事と両立しながら、合格を目指せます。