第6節 組織再編
第2章 会社法
組織再編は、会社の形そのものをつくり変える手続です。合併、会社分割、株式交換、株式移転などがありますが、行政書士試験ではほとんど出題実績がありません。深入りする必要はないので、ここでは代表として合併だけを取り上げ、株主総会の決議、反対株主の保護、債権者保護手続という3点セットと、その決議を省ける略式・簡易の手続を押さえます。ほかの科目に時間を回したほうがよい単元です。
合併
会社法748条・783条・784条・789条・795条・796条簡単にいうと
2つ以上の会社が1つになることです。吸収されるか、新しい器をつくるかで2種類に分かれます。
合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つの会社になることをいいます。合併をする会社は合併契約を締結しなければなりません(会社法748条)。
吸収合併と新設合併
吸収合併は、合併後に存続する会社が、消滅する会社の権利義務の全部を引き継ぐ方式です。消滅した会社の従業員も契約も債務も、個別の手続を経ることなくまとめて存続会社に移ります。新設合併は、合併するすべての会社が消滅し、新しく設立する会社がその権利義務の全部を引き継ぐ方式です。新しい会社をつくる手間がかかるため、実務では吸収合併が使われることがほとんどです。
3点セットの手続
合併には3つの手続が必要です。第一に、株主総会の決議です。消滅会社側も存続会社側も、効力発生日の前日までに株主総会の決議で合併契約の承認を受けます(783条1項・795条1項)。この決議は特別決議です(309条2項12号)。第二に、反対株主の株式買取請求です。合併に反対する株主は、公正な価格で株式を買い取るよう会社に請求できます(785条など)。第三に、債権者保護手続です。合併によって債務者が変わったり財産状況が変わったりするので、債権者は異議を述べることができます(789条・799条)。
略式手続
ある会社が相手方の総株主の議決権の10分の9以上を持っている場合、その会社を特別支配会社といいます(468条1項)。存続会社が消滅会社の特別支配会社であるときは、消滅会社の株主総会の決議は不要です(784条1項本文)。逆に、消滅会社が存続会社の特別支配会社であるときは、存続会社の決議が不要になります(796条1項本文)。決議をしても結論が見えているので省いてよい、という発想です。
簡易手続
存続会社が消滅会社の株主に交付する対価の額が、存続会社の純資産額の5分の1を超えない場合は、存続会社の株主総会の決議が不要になります(796条2項本文)。存続会社にとって影響が小さい合併だからです。略式は持株比率に着目した仕組み、簡易は取引の規模に着目した仕組みだと区別してください。
具体例
A社がB社を吸収合併する場面です。原則としてA社とB社の両方で株主総会の特別決議が必要になります。A社がB社の議決権の95%を持っていれば、B社の決議は省けます(784条1項)。また、A社がB社の株主に交付する対価がA社の純資産額の10分の1にとどまるのであれば、A社の決議も省けます(796条2項)。

合併の種類と手続き
ポイント整理
- ・合併契約を締結すること(748条)
- ・効力発生日の前日までに株主総会の決議で承認を受けること(783条1項・795条1項)
- ・債権者の異議手続を行うこと(789条・799条)
効果
- ・吸収合併では消滅会社の権利義務が存続会社に包括的に承継される
- ・新設合併では当事会社がすべて消滅し新設会社が承継する
- ・反対株主は公正な価格での株式買取りを請求できる(785条など)
- ・特別支配会社があるときは略式手続で株主総会の決議を省ける(784条1項・796条1項)
- ・対価が純資産額の5分の1を超えないときは存続会社の決議を省ける(796条2項)
条文(会社法748条・783条・784条・789条・795条・796条)
会社法748条:会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない。/会社法796条2項:前条第一項から第三項までの規定は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一を超えない場合には、適用しない。
重要メモ
- ・合併の手続は株主総会の特別決議・反対株主の買取請求・債権者保護手続の3点セットであることがポイント
- ・吸収合併は存続会社が承継し、新設合併は新設会社が承継する
- ・略式手続は議決権の10分の9以上を持つ特別支配会社があるとき(784条1項・796条1項)
- ・簡易手続は対価が純資産額の5分の1を超えないとき(796条2項)
- ・行政書士試験では出題実績がほとんどなく、深入りは不要
まとめ
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