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テキスト/商法/第2節 株式会社の設立

第2節 株式会社の設立

第2章 会社法

会社は人為的に作り出す法人であり、どのように誕生させるかのルールが設立手続です。株式会社の設立は、定款の作成・認証、出資の履行、設立登記という厳格な手続を経て初めて成立します。この節では、発起設立と募集設立の違い、定款の絶対的記載事項、設立に関与する者の責任など、試験頻出の論点を徹底的に学びます。

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定款の作成と絶対的記載事項

26条、27条

定款とは会社の根本規則を定めた書面です。株式会社の設立には定款の作成と公証人の認証が必須です。定款には必ず記載しなければならない絶対的記載事項があり、これが欠けると定款全体が無効となります。

具体例

AさんがIT企業を設立する際、定款に①会社の目的(ソフトウェア開発)、②商号(株式会社A-Tech)、③本店所在地(東京都渋谷区)、④設立に際して出資される財産の価額(500万円)、⑤発起人の氏名・住所を記載し、公証役場で認証を受けた。

要件

  • ①目的
  • ②商号
  • ③本店の所在地
  • ④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  • ⑤発起人の氏名又は名称及び住所

効果・結論

  • 絶対的記載事項が一つでも欠けると定款全体が無効
  • 定款は公証人の認証を受けて初めて効力を生じる

条文(第26条、27条条)

第27条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。 一 目的 二 商号 三 本店の所在地 四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 五 発起人の氏名又は名称及び住所

場合
効果
絶対的記載事項の欠缺
定款全体が無効
相対的記載事項の欠缺
定款は有効だが当該事項の効力なし
任意的記載事項の欠缺
定款は有効(別途規則等で定めればよい)

試験のポイント

  • 絶対的記載事項は5つ全て暗記必須。一つでも欠けると定款全体が無効
  • 相対的記載事項(株式の譲渡制限、取締役会設置など)は記載がなくても定款は有効だが、その事項の効力は生じない
  • 公証人の認証は株式会社のみ必須(合同会社等では不要)である点に注意
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発起設立と募集設立

25条

発起設立とは、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法です。募集設立とは、発起人が一部を引き受け、残りを第三者(株主)から募集する方法です。募集設立は手続が複雑で、創立総会の開催が必要となります。

具体例

Aさんら3名の発起人が資本金1000万円の会社を作る際、3人だけで全株式を引き受けたのが発起設立。一方、Bさんらが500万円を出資し、残り500万円分を外部投資家Cさんから募集したのが募集設立。後者は創立総会を開く必要がある。

要件

  • 発起設立:発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける
  • 募集設立:発起人以外の者も株式を引き受ける
  • 募集設立では創立総会の開催が必要

効果・結論

  • 発起設立は手続が簡便で迅速に設立可能
  • 募集設立は創立総会の決議を経る必要があり時間を要する
  • いずれも設立登記により会社が成立する

条文(第25条条)

第25条 株式会社を設立するには、次に掲げる方法のいずれかによらなければならない。 一 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法(発起設立) 二 発起人が設立時発行株式の一部を引き受け、設立時発行株式の引受人を募集する方法(募集設立)

場合
効果
発起設立
発起人のみで全株式引受。創立総会不要。手続簡便
募集設立
第三者も株式引受。創立総会必要。手続複雑

試験のポイント

  • 募集設立では創立総会の開催が必須。発起設立では不要
  • 発起人は1株以上必ず引き受けなければならない(0株の発起人は認められない)
  • 現在は発起設立が圧倒的多数。募集設立の出題は手続の違いを問う形式が多い
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発起人の権限と責任

103条

発起人は定款に署名(記名押印)した者で、会社設立の企画者です。発起人は設立事務を行う権限を持ち、設立中の会社を代表しますが、同時に重い責任も負います。設立に関して第三者に損害を与えた場合、連帯して賠償責任を負います。

具体例

Aさんが発起人として会社設立中、事務所賃貸契約を結んだが、会社が不成立に終わった。この場合、Aさんは発起人として他の発起人と連帯して賃料支払義務を負う。また設立手続に瑕疵があり第三者Bさんに損害を与えた場合も連帯責任を負う。

要件

  • 定款に署名(記名押印)した者が発起人となる
  • 最低1名の発起人が必要
  • 発起人は設立時発行株式を最低1株は引き受けなければならない

効果・結論

  • 発起人は設立に関する行為について第三者に対し連帯して責任を負う
  • 会社不成立の場合、発起人は設立に関する行為の責任を連帯して負う
  • 任務懈怠があれば会社に対して損害賠償責任を負う

条文(第103条条)

第103条 発起人は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 2 発起人が株式会社の設立についてその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人は、第三者に対しても、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

場合
効果
会社成立後の任務懈怠
会社に対して損害賠償責任(103条1項)
悪意・重過失による第三者損害
第三者に対して損害賠償責任(103条2項)
会社不成立の場合
設立行為の責任を連帯して負う(53条)

試験のポイント

  • 発起人の責任は連帯責任である点が重要。1人が全額払えば他は免責される
  • 会社不成立の場合、設立費用は発起人が連帯して負担(会社法53条)
  • 発起人は設立後も任務懈怠があれば責任追及される(設立時取締役等の選任など)
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設立の登記と会社の成立

49条

株式会社は設立の登記をすることによって成立します。設立登記は創設的効力を持ち、登記以前は会社は存在しません。発起設立では発起人が、募集設立では設立時代表取締役が、本店所在地で登記申請を行います。

具体例

Aさんら発起人が定款認証、出資金の払込を完了し、設立時取締役を選任した。その後、本店所在地の法務局で設立登記を申請し、登記が完了した日に株式会社A商事が成立した。登記前は会社として取引できない。

要件

  • 定款の作成・認証
  • 出資の履行(金銭出資又は現物出資)
  • 設立時取締役等の選任
  • 設立登記の申請

効果・結論

  • 設立登記により会社が成立する(創設的効力)
  • 登記前は会社として法律行為ができない
  • 登記後は法人格を取得し、権利義務の主体となる

条文(第49条条)

第49条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

場合
効果
発起設立の場合
発起人が設立登記を申請
募集設立の場合
設立時代表取締役が設立登記を申請
登記前
会社は存在せず、発起人個人が行為の主体
登記後
会社が成立し法人格を取得

試験のポイント

  • 設立登記は創設的効力。登記があって初めて会社が成立する(不動産登記は対抗要件に過ぎない点と対比)
  • 登記前の法律行為は発起人個人の行為であり、会社成立後も当然には会社に帰属しない
  • 会社成立後、設立手続に瑕疵があっても遡って無効にはできない(会社法828条の訴えによる)

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
定款の絶対的記載事項
5つ全て必須。一つでも欠ければ定款無効
相対的記載事項との混同。相対的記載事項欠缺では定款自体は有効
発起設立と募集設立
発起設立は全株式を発起人が引受。募集設立は創立総会必要
現在は発起設立が主流だが、試験では手続の違いを問われる
発起人の責任
第三者への損害は連帯責任。会社不成立なら設立費用も連帯負担
連帯責任であることを見落とさない。1人が払えば他は免責
設立の登記
登記により会社成立(創設的効力)。登記前は会社は存在しない
不動産登記(対抗要件)との違い。設立登記は成立要件

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