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テキスト/商法/第1節 会社の種類と株主の責任

第1節 会社の種類と株主の責任

第2章 会社法

会社法は、企業活動の基本ルールを定めた法律です。この節では、会社にはどのような種類があるのか、株主はどこまで責任を負うのかという、会社法の最も基本的な構造を学びます。行政書士試験では、会社設立の相談や株式に関する書類作成の知識として頻出です。

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会社の種類

2

会社法は株式会社合名会社合資会社合同会社の4種類を定めています。株式会社は株主の有限責任が特徴で、株主は出資額を限度に責任を負います。持分会社(合名・合資・合同)は株式を発行せず、社員が直接経営に関与する形態です。

具体例

Aさんは飲食店を開業予定です。株式会社なら出資した100万円を失うリスクだけですが、合名会社なら店の借金全額を個人財産で返済する責任を負います。

要件

  • 株式会社:株式の発行、有限責任社員のみ
  • 合名会社:無限責任社員のみ
  • 合資会社:無限責任社員と有限責任社員
  • 合同会社:有限責任社員のみ、株式なし

効果・結論

  • 株式会社の株主は出資額を限度とする有限責任
  • 合名会社の社員は会社債務全額について無限責任
  • 会社の種類により機関設計や設立手続が異なる

条文(第2条)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。一 会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。

場合
効果
株式会社
有限責任・株式発行・機関設置義務あり
合名会社
無限責任・株式なし・機関自由
合資会社
有限・無限混在・株式なし
合同会社
有限責任・株式なし・機関自由

試験のポイント

  • 株式会社と合同会社はどちらも有限責任だが、株式の有無が決定的な違い
  • 合名会社の社員は無限責任で個人財産まで責任を負う点を理解
  • 試験では「有限責任か無限責任か」を問う問題が頻出
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株式会社の特徴と株主の地位

104、105

株式会社は資本と経営の分離が特徴で、株主は出資者として株式を保有します。株主は株主平等原則により、持株数に応じて平等に扱われ、議決権や配当を受ける権利を持ちます。株主は出資額を限度に責任を負うため、会社が倒産しても個人財産は守られます。

具体例

AさんとBさんが株式会社を設立。Aさんは300株、Bさんは100株を持ちます。議決権はA75%、B25%ですが、1株あたりの配当額は平等です。

要件

  • 株式の発行による資金調達
  • 株主は株式数に応じた権利行使
  • 株主平等原則の適用

効果・結論

  • 株主は出資額を限度とする有限責任
  • 株主は議決権、剰余金配当請求権、残余財産分配請求権を持つ
  • 株式数に応じて平等な取扱いを受ける

条文(第104、105条)

株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。一 剰余金の配当を受ける権利 二 残余財産の分配を受ける権利 三 株主総会における議決権

試験のポイント

  • 株主平等原則は「1株1議決権」が原則だが、種類株式で例外がある
  • 有限責任の意味は「出資額まで」であり、ゼロではない
  • 株主の地位は株式の譲渡により移転する
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株式会社の設立

25、57、58

株式会社の設立方法には発起設立募集設立があります。発起設立は発起人が全株式を引き受ける方法、募集設立は発起人以外からも出資者を募る方法です。いずれも定款作成、認証、出資履行、設立登記が必要です。会社不成立の場合、発起人は連帯して責任を負います。

具体例

Aさんら3名で株式会社を設立。全員で全株式を引き受けたので発起設立です。定款を作成し公証人の認証を受け、出資金を払い込み、登記して完了しました。

要件

  • 定款の作成と公証人の認証
  • 発起人による株式引受け(発起設立は全株式)
  • 出資の履行(金銭または現物出資)
  • 設立登記の申請

効果・結論

  • 設立登記により会社が成立
  • 会社不成立の場合、発起人は連帯して行為の責任を負う
  • 設立費用は原則として会社が負担

条文(第25、57、58条)

株式会社を設立するには、その発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

場合
効果
発起設立
発起人が全株式引受・手続簡易・迅速
募集設立
発起人以外も引受可・創立総会必要・手続複雑

試験のポイント

  • 定款は必ず公証人の認証が必要(合同会社は不要との対比)
  • 発起設立と募集設立の違いは「発起人以外からの募集の有無」
  • 会社不成立の場合の発起人の連帯責任は頻出
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会社の権利能力と政治献金(八幡製鉄政治献金事件)

3

会社は法人として権利能力を持ち、自然人と同様に権利義務の主体となります。ただし、会社の権利能力は定款の目的の範囲内に制限されます。八幡製鉄政治献金事件(最大判昭45.6.24)は、会社が政治献金をできるかが争われ、最高裁は定款の目的の範囲内で可能と判示しました。

具体例

鉄鋼会社A社が政党に献金しました。株主Bさんが「定款の目的外で違法だ」と訴えましたが、裁判所は「社会通念上、会社の存立に必要な範囲で可能」と判断しました。

要件

  • 会社の権利能力は定款の目的による制限を受ける
  • 目的の範囲は社会通念上必要かつ合理的な行為を含む

効果・結論

  • 会社は定款の目的の範囲内で権利能力を持つ
  • 政治献金は定款の目的の範囲内として許される
  • 目的外行為は無効となる可能性がある

条文(第3条)

会社は、法人とする。

試験のポイント

  • 八幡製鉄事件は会社の権利能力の範囲を示す最重要判例
  • 「目的の範囲内」は厳格な文言解釈ではなく社会通念で判断
  • 政治献金が許される根拠は「会社の存立に必要」という点

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
会社の種類
株式会社は有限責任・持分会社は株式なし
合同会社も有限責任である点を見落とさない
株主の地位
有限責任・株主平等原則・議決権配当権
有限責任は「出資額まで」負う意味
会社設立
発起設立は全株式引受・定款認証必須
募集設立との手続の違いを混同しない
会社の権利能力
定款の目的の範囲内・社会通念で判断
八幡製鉄事件の判旨を正確に理解

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