第1節 会社の種類と株主の責任
第2章 会社法
会社法が認める会社は4種類あります。ただし行政書士試験で問われるのは、そのほとんどが株式会社です。この節では、まず4種類を並べて位置づけを確認し、次に株式会社を支える土台である「株主の間接有限責任」を押さえます。この2つが直接問われることは多くありませんが、これから学ぶ設立・株式・機関のすべてがここを前提にして組み立てられています。
会社の種類
会社法2条1号・575条1項簡単にいうと
会社法がつくれる会社は4種類だけです。違いは、出資者がどこまで責任を負うかにあります。
会社法が認める会社は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類です(会社法2条1号)。これ以外の形態を「会社」としてつくることはできません。
持分会社という3つのまとまり
4種類のうち合名会社・合資会社・合同会社の3つをまとめて持分会社といいます(会社法575条1項)。持分会社は株式ではなく「持分」という単位で出資関係を表し、社員どうしの信頼関係を前提にした閉じた組織です。合名会社は社員全員が無限責任社員、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方、合同会社は社員全員が有限責任社員という構成になります。合同会社は2006年に施行された会社法で新しくつくられた形態です。
有限会社はどうなったか
会社法が施行される前にあった有限会社は、新たにつくることができなくなりました。ただし当時からある会社は特例有限会社として存続しており、会社法の上では株式会社として扱われます。名前が「有限会社」でも中身は株式会社だということです。
試験ではどこを見るか
行政書士試験で出てくるのはほぼ株式会社です。持分会社は、4つの名前と社員の責任の違いを言えれば十分で、細かい規律まで追う必要はありません。株式会社は株式を発行して広く資金を集められるのに対し、持分会社は設立も運営も簡単で、少人数の閉じた経営に向いています。この役割分担をつかんでおけば足ります。
具体例
AとBが2人で飲食店の会社をつくるとします。株式会社にすれば外部の出資者から資金を集めやすくなります。合名会社にすれば手続は簡単ですが、店の借金をAもBも個人の財産で返す責任を負います。合同会社を選べば、責任は出資額までに抑えつつ、株式会社より軽い手続で始められます。
ポイント整理
- ・会社法が定める4種類(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社)のいずれかであること
- ・持分会社は社員になろうとする者が定款を作成すること(575条1項)
効果
- ・株式会社の株主は間接有限責任を負う
- ・合名会社の社員は全員が無限責任社員となる
- ・合資会社は無限責任社員と有限責任社員で構成される
- ・合同会社の社員は全員が有限責任社員となる
条文(会社法2条1号・575条1項)
会社法2条1号:「会社」とは、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。/会社法575条1項:合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」という。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成しなければならない。
重要メモ
- ・会社は4種類しかないことがポイント(2条1号)
- ・合名・合資・合同の3つをまとめて持分会社という(575条1項)
- ・合名は全員が無限責任、合同は全員が有限責任、合資は両方が混在する
- ・有限会社は新設できず、既存のものは株式会社として扱われる
- ・出題されるのはほぼ株式会社。持分会社は責任の違いだけで足りる
株主の間接有限責任
会社法104条簡単にいうと
会社が倒産しても、株主が失うのは出資したお金だけです。取引先から直接請求されることもありません。
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とします(会社法104条)。この短い条文に「間接」と「有限」という2つの性質が詰まっています。
「間接」とは何か
株主が負っているのは、会社に対して出資する義務だけです。会社の債権者に対して直接責任を負うことはありません。会社を通じてしか責任が及ばないので「間接」といいます。会社の取引先は、会社の財産を引き当てにするしかなく、株主個人の財布に手を伸ばすことはできません。
「有限」とは何か
株主が失う可能性があるのは、出資した金額までです。会社がどれだけ大きな負債を抱えて倒産しても、株主に追加の負担を求めることはできません。合名会社の社員が、会社の債務を直接、しかも無制限に負うのと正反対です。
なぜこの仕組みが要るのか
出資した金額を超えて責任を追及されるとしたら、見ず知らずの会社に投資しようとする人はいなくなります。責任の上限をあらかじめ決めておくことで、多くの人が安心して少しずつお金を出せるようになり、会社は大きな資金を集められます。株式会社が広く使われている理由はここにあります。
株主が得る権利
出資と引き換えに、株主は保有株式数に応じた権利を持ちます。剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、株主総会における議決権の3つが柱です(会社法105条1項)。前の2つをすべて与えない定款の定めは効力を持ちません(同条2項)。
具体例
株主Aが株式会社Xに10万円を出資しました。Xが取引先Yに5,000万円の債務を負って倒産した場合、YはAに5,000万円を請求できません。Aが失うのは出資した10万円までです。これがもし合名会社であれば、社員は個人の財産から5,000万円を支払う責任を負います。

株主の責任(間接有限責任)
ポイント整理
- ・株式会社の株主であること
- ・責任の範囲はその有する株式の引受価額に限られること(104条)
効果
- ・株主は会社の債権者から直接請求を受けない(間接責任)
- ・株主が失うのは出資額までに限られる(有限責任)
- ・株主は保有株式数に応じて配当・残余財産・議決権の各権利を持つ(105条1項)
条文(会社法104条)
会社法104条:株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。
重要メモ
- ・株主の責任は株式の引受価額が上限であることがポイント(104条)
- ・間接とは、会社債権者から直接請求されないという意味
- ・有限とは、責任の上限が出資額に限られるという意味
- ・合名会社の社員は直接かつ無限の責任を負う(正反対の扱い)
- ・配当と残余財産分配の権利を両方とも奪う定款の定めは無効(105条2項)
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