A行政法行政行為(行政処分)
医薬品ネット販売権利確認請求訴訟
最高裁判所2013-01-11最判平25.1.11
委任立法の限界職業活動の自由医薬品ネット販売薬事法施行規則法律の委任の範囲逸脱
省庁が法律の委任を超えてネット販売を禁止するのは違法!
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事案の概要
医薬品のネット通販事業者であるケンコーコムとウェルネット(原告)は、副作用リスクの高い第一類・第二類医薬品のインターネット販売を事実上全面禁止する薬事法施行規則(厚生労働省令)の規定は違法だとして、ネット販売を行う権利の確認を求めて訴訟を起こしました。国側は「対面販売でなければ副作用情報の提供が不十分になる」と主張しましたが、問題の核心は、そもそも薬事法が省庁にネット販売の一律禁止を委任していたかどうかという点にありました。
争点
薬事法施行規則が第一類・第二類医薬品のインターネット販売を一律に禁止した規定は、上位法である薬事法が省庁に委任した範囲を逸脱した違法な規定として無効といえるか、というのがこの事件の争点です。
判旨
薬事法の委任の範囲を逸脱したものでないというためには、立法過程の議論も考慮した上で、薬事法の各条文から、ネット販売(郵便等販売)を規制する内容の省令制定を委任する授権の趣旨が、規制の範囲や程度に応じて明確に読み取れることが必要です。しかし薬事法の条文をいくら検討しても、店舗販売業者による一般用医薬品の販売を原則として対面に限るべきであるとか、ネット販売を規制すべきであるとの趣旨を明確に示す規定は存在しません。したがって、第一類・第二類医薬品のネット販売を一律に禁止することとなる限度において、薬事法施行規則の当該規定は薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であると判断しました。つまり、省庁は法律が委任した範囲を超えた規制を施行規則で設けることはできないということです。
【原文】
薬事法施行規則15条の4第1項1号(同規則142条において準用する場合),159条の14第1項及び2項本文,159条の15第1項1号並びに159条の17第1号及び2号の各規定は,一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品につき,店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売又は授与を一律に禁止することとなる限度において,薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である
【判決理由(原文) 】
新薬事法の他の規定中にも,店舗販売業者による一般用医薬品の販売又は授与やその際の情報提供の方法を原則として店舗における対面によるものに限るべきであるとか,郵便等販売を規制すべきであるとの趣旨を明確に示すものは存在しない。
【原文】
薬事法施行規則15条の4第1項1号(同規則142条において準用する場合),159条の14第1項及び2項本文,159条の15第1項1号並びに159条の17第1号及び2号の各規定は,一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品につき,店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売又は授与を一律に禁止することとなる限度において,薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である
【判決理由(原文) 】
新薬事法の他の規定中にも,店舗販売業者による一般用医薬品の販売又は授与やその際の情報提供の方法を原則として店舗における対面によるものに限るべきであるとか,郵便等販売を規制すべきであるとの趣旨を明確に示すものは存在しない。
判決
薬事法施行規則の該当規定は、第一類・第二類医薬品のネット販売を一律に禁止する限度において薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるとし、原告(ネット販売事業者)の請求が認容されました。
関連法令の解説
薬事法(現:薬機法)および薬事法施行規則
薬事法は医薬品の販売に関する許可制度や情報提供義務を定めた法律で、細かい販売方法等については施行規則(厚生労働省令)に委任していました。しかし最高裁は、薬事法の条文を精査した結果、第一類・第二類医薬品のネット販売を一律に禁止する内容の省令制定を委任する趣旨が明確に読み取れないと判断し、施行規則の当該規定を違法・無効としました。
憲法22条1項(職業選択の自由)
この条文は職業選択の自由を保障しており、判例はこれに職業活動の自由(営業の自由)も含まれると解しています。本判例では、職業活動の自由を制約するためには法律レベルの明確な根拠が必要であり、省庁が作る施行規則だけで職業活動を広く規制することはできないという文脈でも援用されています。
薬事法は医薬品の販売に関する許可制度や情報提供義務を定めた法律で、細かい販売方法等については施行規則(厚生労働省令)に委任していました。しかし最高裁は、薬事法の条文を精査した結果、第一類・第二類医薬品のネット販売を一律に禁止する内容の省令制定を委任する趣旨が明確に読み取れないと判断し、施行規則の当該規定を違法・無効としました。
憲法22条1項(職業選択の自由)
この条文は職業選択の自由を保障しており、判例はこれに職業活動の自由(営業の自由)も含まれると解しています。本判例では、職業活動の自由を制約するためには法律レベルの明確な根拠が必要であり、省庁が作る施行規則だけで職業活動を広く規制することはできないという文脈でも援用されています。
身近な例え
親が「お菓子は適度に」と言ったのに、兄が勝手に「お菓子は一切禁止」というルールを作るようなもの。親の指示の範囲を超えているので無効です。
ざっくりまとめ
国会が作った薬事法は「細かいルールは省庁に任せる(委任する)」って言ってたわけ。でも省庁(厚生労働省)が「じゃあネット販売を全部禁止しよう!」って施行規則を作ったんだよね。最高裁は薬事法をどこから読んでもそんな禁止を任せた記述がない、って言ったわけ。法律が委任してもいないことを省庁が勝手に規制するのは「委任の範囲の逸脱」として違法になる!法律と省令・施行規則の上下関係がこの判例の肝だよ。
試験対策ポイント
・法律の委任範囲を超えた省令(施行規則)は違法・無効
・薬事法の条文から一律禁止の趣旨は読み取れない
・国会の意思としても一律禁止は想定されていなかった
・職業活動の自由(憲法22条1項)を不当に制約
・委任の範囲の判断には、法律の文言、趣旨、立法経緯、国会の意思を総合考慮
関連法令
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