A民法親族・相続
相続放棄と登記
最高裁判所1967-01-20最判昭42.1.20
相続放棄登記不要絶対的効力対抗関係不発生単独所有
相続放棄で登記不要
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事案の概要
被相続人Aが死亡し、法定相続人は全部で7名いました。うちBとCを除く5名が相続放棄をしたため、不動産はBとCが共同で取得することになりました。しかし5名のうちの一人の債権者Yが、その相続人も共同相続したとして代位による所有権保存登記をした上で、その持分に対して仮差押の登記を経由しました。BはYに対して仮差押登記の抹消を求めましたが、1審・原審は「相続放棄による持分取得も登記がなければ第三者に対抗できない」として請求を棄却しました。Bが上告し、最高裁が判断しました。
争点
相続放棄によって他の相続人が単独で不動産を取得した場合、放棄した相続人を相続人として代位登記した上で差押えをした債権者に対して、登記なしで所有権を主張できるかどうかが争点です。
判旨
相続放棄の効力は、登記の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきです。相続放棄をした者は民法939条により初めから相続人ではなかったものとみなされるから、その者を相続人として経由した所有権保存登記及び仮差押登記はいずれも無効であり、Bは登記がなくてもこれを主張することができます。
【原文】
相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼつて相続開始がなかつたと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきであつて、相続の放棄をした相続人の債権者が、相続の放棄後に、相続財産たる未登記の不動産について、右相続人も共同相続したものとして、代位による所有権保存登記をしたうえ、持分に対する仮差押登記を経由しても、その仮差押登記は無効である。
【原文】
相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼつて相続開始がなかつたと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきであつて、相続の放棄をした相続人の債権者が、相続の放棄後に、相続財産たる未登記の不動産について、右相続人も共同相続したものとして、代位による所有権保存登記をしたうえ、持分に対する仮差押登記を経由しても、その仮差押登記は無効である。
判決
破棄自判。仮差押登記は無効であり、Bの登記抹消請求が認容されました。
関連法令の解説
民法939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなすと定めています。この遡及効により放棄した者は相続開始時から無権利者となるため、その者の債権者も放棄された財産に対して権利を取得する余地がありません。本判決はこの遡及効が「絶対的」に生じると判示しました。
民法177条
不動産に関する物権の得喪・変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないと定めています。本判決は、相続放棄の場合は放棄した者が元から無権利であるため177条の対抗問題は生じず、登記なしで第三者に権利取得を主張できると判示しました。
相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなすと定めています。この遡及効により放棄した者は相続開始時から無権利者となるため、その者の債権者も放棄された財産に対して権利を取得する余地がありません。本判決はこの遡及効が「絶対的」に生じると判示しました。
民法177条
不動産に関する物権の得喪・変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないと定めています。本判決は、相続放棄の場合は放棄した者が元から無権利であるため177条の対抗問題は生じず、登記なしで第三者に権利取得を主張できると判示しました。
身近な例え
クラス委員の選挙で、立候補を取り下げた人は最初から候補者じゃなかったことになる。だから、残った人が当選者として活動するのに特別な手続きは不要という感じです。
ざっくりまとめ
「5人が相続放棄してBとCが不動産を取得したのに、放棄した人の借金の債権者が『あの人も共同相続したはずだ』として持分を差し押さえてきた。Bは登記してないんだけど、差押えを無効にできるの?」という話。
まず、相続放棄の本質から考えよう。民法939条で「相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と定められている。これは遡及効のある絶対的な効力であり、放棄した者は初めから相続権がない。
つまり、放棄した共同相続人は最初から無権利者。無権利者の持分に登記が入っても、その登記は無効。そもそも対抗関係が生じないから、BはYに対して登記なしで所有権を主張できる。「登記のある者が勝つ」という対抗問題の土俵に乗せる必要すらないんだ。
まず、相続放棄の本質から考えよう。民法939条で「相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と定められている。これは遡及効のある絶対的な効力であり、放棄した者は初めから相続権がない。
つまり、放棄した共同相続人は最初から無権利者。無権利者の持分に登記が入っても、その登記は無効。そもそも対抗関係が生じないから、BはYに対して登記なしで所有権を主張できる。「登記のある者が勝つ」という対抗問題の土俵に乗せる必要すらないんだ。
試験対策ポイント
法定相続分での取得:登記不要(最判昭38.2.22)→無権利者からの登記に公信力なし
相続放棄:登記不要(本判決)→放棄の効力は絶対的で対抗問題不発生
遺産分割による法定相続分超過部分:登記必要(最判昭46.1.26)→対抗問題が生じる
遺贈:登記必要(最判昭39.3.6)→対抗問題が生じる
相続放棄が「登記不要」となる根拠:民法939条の遡及効により放棄した者は初めから無権利→177条の対抗問題の前提となる物権変動自体が生じていない
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